たまの宝箱

たまたまの出会いを宝に変えてきた「たま」が、自分の好きをご紹介

視力検査と校長先生の思い出

 高校入学の4月。健康診断のため新入生全員が、体育館に集まった時のことです。


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 視力検査のボードを前に、校長先生は言いました。

「このCの文字を見たとき、空いているところを指で指し示す。小学校、中学校、とさんざんこの検査をやってきた君たちに、この視力検査の方法を説明するために、私はこの壇上に立っているわけではありません。」


 てっきりこれから始まる検査の説明をするのか、と思っていた私たちはざわめきます。


「人間はこのCの文字のように、欠けてるところに目がいく生き物です。他の95%がよくできているのに、たった5%のできていないところにばっかり目が向いてしまうのです。」


「高校受験をくぐり抜け、ここに集まったみなさんたち。小学校、中学校での立ち位置とは異なり、戸惑うこともあるかもしれません。友達と比べて自信を失うこともあるかもしれません。」


「でも欠けているところに目を向けるのではなく、95%の良くできてるところ、自分の得意なところ、長時間やっていても気にならないほど没頭できること、そんなことに目を向けて、高校生活を過ごしてください。」


 健康診断を受けるために体操着で集まった私たち。メモを取る鉛筆も紙もありませんでした。それでもその時の校長先生からのメッセージは、30年経った今でも心に刻まれてます。


 今でもあります。他の人の素敵なところを見て圧倒され、自分なんかと心がしぼんでしまうこと。その人の影の努力を見もしないで、恵まれた境遇だけを羨んでしまう夜。


 「自分なんか」病が出てきてしまう日は、校長先生のメッセージを思い出します。

「欠けてるところではなく、できているところに目を向ければいいんだよ」。

 

 視力検査の表を前にして伝えてくれたあのスピーチに励まされ、これまで歩んできた英語との関わり。学び。そして人との出逢い。

綴っていきたいと思います。