【英語絵本】『はなのすきなうし』
小学校の休み時間、図書室で本を読むのが好きでした。でも本を読むことは勧められるのに、休み時間には元気に外へ出てドッジボールなど、みんなと外遊びする子がほめられます。
担任の先生が私にむけた眼差しは、フェルディナンドのお母さんのようだったと思います。
『The story of Ferdinand』。私の大好きな絵本です。
日本語のタイトルは『はなのすきなうし』。
でも私は元の英語の絵本のタイトル「フェルディナンドの物語」の方が好きです。
なぜなら、闘牛なのに花が好きなんて!という驚きを、絵本のページをめくることで発見したかったから。
みんなが外で遊ぶ中、静かに座っているフェルディナンド。
闘牛だけど仲間から離れてひっそりと、花のにおいをかいでいるのが好きな牛。
一人ぼっちで寂しくはないの、どうしてほかの牛たちと一緒に遊ばないの、とお母さんは心配そうに息子にたずねます。
「ぼくはこうしてひとり、花のにおいをかいでいるのが好きなんだよ、お母さん」
闘牛場の真ん中に連れられていっても、見物客の女性たちの、帽子の花飾りのにおいをかいで、ゆったりと座り込んで闘おうとはしません。
自分の腕前を見せたくて、激怒して怒鳴り散らす闘牛士には目もくれずに。
小学生のとき、よく担任の先生に心配そうに言われました。どうして休み時間に外に行かないの?こんなにいい天気なのに。お友だちに何か言われたの?遊んでくれるお友だちはいる?
私はただただ本が好きなだけなのに。
こうしてただただ本に囲まれて、静かにページをめくっているのが好きなだけなのに。
自分らしさを貫いて、という激しさもなく、ゆるやかに漂う結果として、うまくいっているフェルディナンド。
私もしなやかに、軽やかに、望む方向へと進んでいきたいです。