【本】あなたにほめられたくて
『あなたにほめられたくて』(高倉健 1991年6月刊行 1993年8月文庫化 集英社文庫)。高倉健さんが還暦祝いに出版した初のエッセイ集。23編が収録され、ラストが「あなたにほめられたくて」。
新田次郎『八甲田山死の彷徨』の映画や任侠のイメージとは異なり、『幸福の黄色いハンカチ』の役のような、不器用でも温かいお人柄が伝わってくるエッセイ集です。
フェリー乗り場に置いてあったこの文庫本をふと手に取ったのは、このタイトルに惹かれたから。私が去年家を出るまでの、幼い頃からの全ての行動のモチベーションは「あなたにほめられたい」からでした。
両親からいい子だとほめられたい。
いいお姉ちゃんだとほめられたかった、三人兄弟の長女の私。
10年続けた剣道でも、先生からも先輩からも後輩からも仲間たちからも、いい剣士だと認められたい、褒められたい。筋がいいと言われたい。
職場でも上司からの誉め言葉が、何よりものモチベーション。
いい奥さんだとほめられるためには、何をしたらいいんだろう?
子育て?女の子を産んだら次は男の子?
子育てしながら家事をこなし、仕事もしてにこやかに、小ぎれいに。
次々と感情にフタをして期待に応えていくうちに、写真の自分の顔が、どれも同じ張りついた笑顔であることに気がつきました。笑っているポーズはしているけれど、漏れ出てくるカチカチの心。
私は自分自身の人生設計をしてきませんでした。その場その場で、そこで他人から求められるように行動し、振る舞い、望まれる成果を出してきました。でも、それは自分が設計したものではありません。自分で決めたルールでもありません。
私に必要なことは、自分自身がどうなりたいのか、どうありたいのか、明確に描くことです。その、目標となる人生をかなえるために、限られた時間とエネルギーを1ヶ月、1週間、そして今日、どのように投入していくのか。
誰でもない、自分との約束。
自分自身との約束が守れた時、私は喜びで満たされます。
ミッションステートメントを完成し、その自分の人生の戦略目標に向かって進み続けることが、これからの私の人生の楽しみです。